
店主 安藤です。以前、東京千駄木・往来堂書店のファウンダー・初代店長を務めました(1997年~2000年)。その後、オンライン書店bk1店長、楽天ブックス事業部長などを経て、現在は父親支援のNPO法人ファザーリング・ジャパンのファウンダー、社会的養護支援のNPO法人タイガーマスク基金、にっぽん子ども・子育て応援団の代表、1more baby応援団の顧問等を務めています。地方創生の(株)100DIVEアドバイザー 、絵本ナビ顧問も。プロフィール詳細はこちら
そして今年新たに、「まちづくりは人づくりから。本は人を育み、本屋は人をつなぐ。」がコンセプトの、BSJことNPO法人ブックストア・ソリューション・ジャパンを立ち上げ代表理事に就任しました。BSJは全国に増える「無書店地域」で「まちの本屋」の復活を目指すとともに、あらゆる書店の課題を解決する事業を展開していきます。
今回の自店の出店は、「現代でも通用する書店モデル」をあれこれ考えているうちに「まずは自分でやってみよう!」と思い立ち、本好きが集う「谷根千エリア」でこれまでの新刊書店・古書店とは違う、まちの本屋Books & Coffee谷中🔥TAKIBIを創ろうと思い立ちました。
人が自然と集まり、本の話や美味しい食の話、暮らしの話、子育ての話、仕事の話、そして地域社会が持続可能になるような話が自然と生まれる、 “たき火”のような本屋をつくりたい。
うまくいけばBSJが掲げる「まちづくり✕本屋」のミッションに近づくはず。それをもって無書店地域の自治体に提案していきたいのです。
どんな本屋さんなの?
地域あるいは全国の本好き&一度は本屋をやってみたいと考える方に本棚を借りてもらい、「読んでほしい推し本」の数々を並べて売ってもらいます。まさに個人書店の集合体。これからの書店の在り方として注目される新しいタイプのシェア型本屋(共同書店)です。その「本のある場所」から生まれる棚主同士や、お客さんのコミュニケーションも大切にしたくカフェ☕も運営します。
Books & Coffee🔥TAKIBIは、わが町を愛する人々が集うコミュニティの形成にも寄与したいと考えます。各種テーマのトークイベントやセミナー・ワークショップを開催、一冊の本について語り合う「読書会」や、まちの子どもたちには絵本の読み聞かせ、中高生向けビブリオバトルなどの読書推進活動も行う予定です。
なぜ書店が消えていく時代に書店をやるのか?
いま新刊の価格高騰でますます本が売れなくなっており、棚貸しを新古書販売のツールにし、近隣の新刊書店と本のエコシステムをつくり新刊需要を支えることもTAKIBIの役割だと考えています。
可処分所得が伸びない時代において、物価高で出版業も紙の値段の高騰などで新刊書の価格も高くなっており(ちょっとした文庫で千円以上するものもある!)、市井の読者には新刊本はすでに贅沢品になりつつあります。一方、ネットのオークションサイトで多くの新刊本の出品→売買されたり、4人に一人がネット書店で本を買い、子どもですらコミックを電子書籍で詠む姿を見るにつけ、これでは全国のリアル新刊書店(セレクト書店)の存続に危機感を覚えます。
であるがゆえ、近隣の新刊書店と「本のエコシステム」の好循環をつくり、新刊需要を支えることができないないだろうか。本離れが進むZ世代に本の面白さや読書の重要性を伝える本屋ができないだろうか、という仮説を生まれ、これまでの新刊販売モデルとは違うモデルとして、シェア型書店(棚貸し本屋)をメインに運営する本屋をオープンし、その社会実験をしてみようと考えました。
「本のエコシステム」を作るとはどういうことか?
Books & Coffee谷中🔥TAKIBIは、不忍ブックストリートと呼ばれるエリアで、あえて往来堂書店のそば(徒歩1分)に店を構えます。
①往来堂等で購入した新刊本を読み終わったら→②シェア本屋TAKIBIの棚に並べたり近隣の古書店に売る→③売れたお金を財布に入れ往来堂等へ行ってまた新刊を買う→④読後またTAKIBIで売る_といったサイクルが生まれるのではないかと考えた。(これはメルカリでコミックを買い、読んでメリカリ売ってまた違うコミックを買っているわが子を見ていて思いついた)
加えて谷中Books & Coffee🔥TAKIBIはトークイベントや読書会による読者の拡大、読み聞かせやビブリオバトルなど子ども・若者への読書推進活動、また各種テーマのセミナーやワークショップなどを開催する。これら社会教育(社会学)を推進することによって、まちづくりに寄与する社会活動が盛んになるはず。人は何かを始めるときに本を読む。そのコミュニティ(フューチャーセンター)の形成過程において、本への需要が高まり、本を読むことがカッコいいと言われるようになり、本はまた売れ始め、そして「まちの本屋」が元気になると考えます。
最後に
ChatGPTなどの生成AIに負けない未来の読者(自分の頭で考える大人)を育てるべく、小さい頃から本に親しみ、本を読む習慣を身につけてもらえるようなサービス(レファレンス)を心がけます。また乳幼児のパパママ向けには「大変な子育てが楽しくなる方法」や、「わが子を本好きにするコツ」を教えます。中高生には「あそこはSNSやっているより面白い」と言われるような(不良だけど)カッコいい大人に出会える場所に、またワーカーには「働き方改革」や「転職(ライフシフト)」の相談に応え、高齢者の方にはお茶を飲みながら「人生100年時代の楽しみ方」「孤独を楽しむ方法」を教えます。老若男女の皆さんにとってそれぞれのサードスペースにしてもらえたらうれしく思います。
ただ「本」が置いてあるだけじゃなく、そこで人(重要な他者)と出会い人生が変わる。あるいは「気づき」や「アイデア」が生まれ、化学反応が起きる(新しいビジネスが始まる)、たき火🔥のような町の本屋、それがBooks & Coffee谷中🔥TAKIBIです。
たき火(本がある場所)には自然と人が集まってきます。知らない者どうしでも話し会話が進む。そこから何かが始まることもある。まちが、人々が、元気になるアクションが立ち上がるかもしれない。本にはそういうチカラが、本屋にはそういう磁場があります。ただ、皆が薪(本)を持ち寄らないと、たき火🔥は消えてしまいます。毎日のご来店をお待ちしています!
(TAKIBI店主)
